遺言書の書き方はどんなものがあるのですか?

2015年7月5日

こんにちは、山形県酒田市の行政書士アドバンス総合事務所の中山です。

 遺言者の真意を確保するため、遺言には厳格な方式が要求されていて、民法の方式に従わなければすることができません。口で言ったことや紙に書いてもメモ程度としか見られないものには法律的効果はないのです。はじめから厳格な方式を定めておき、遺言者の真意が正確に表現され、後になって、他人に変造されないようにする必要があるのです。
 民法の定める普通方式の遺言には次の三種類があります。

1.自筆証書遺言ー全て自筆で作る遺言書

 遺言者が、遺言書の全文、日付および氏名を自著し、押印してつくる遺言です。
長 所・・・・証人や立会人も不要、自分だけで作って秘密にしておける。
短 所・・・・紛失や死後発見されても、隠匿や破棄される危険があります。脅迫されて書かされた場合でも後でこれを証明することが困難です。病気などで字が書けない人は、この遺言ができません。

 自分一人で簡単に作成でき、遺言内容を秘密にできるという長所がある反面、ちょっとしたミスが原因で遺言としての効力を失うことがあります。特に注意すべき点は
・すべてを自筆で書いているか。
・作成日や、著名・押印に欠落や不備がないか。
・遺言の内容(相続させる財産の特定)が、わかりやすく正確に書かれているか。
 また、たとえ有効な遺言書を作成したとしても、保管方法が悪く紛失したり、遺言書が発見されないケースや、遺言書の内容に納得できない相続人や関係者によって、遺言書が隠されたり、変造されるという心配があるため、遺言書の保管方法にも注意する必要があります。

2.公正証書遺言ー遺言者が口頭で述べた内容を公証人が文書にする遺言

 公正証書遺言とは公証人に遺言書の作成を依頼することで、遺言書を公文書として保管できるという、もっとも安全で確実な遺言書です。
長 所・・・・公証人が筆記して作成するので、文字を書けない人でも遺言できる。遺言書の原本は公証役場に保管されるので、紛失や偽造、滅失などの心配はありません。公証人が作成するので、方式の不備といったことがないので、遺言の内容自体についてトラブルを生じることはありません。家庭裁判所による検認の手続きも必要ありません。
短 所・・・・証人の立会いを必要とする煩わしさと若干の費用を要することが挙げられます。

 公正証書遺言では、遺言者本人が遺言書を書く必要がなく、自分で選んだ証人二人以上とともに公証役場に出向き、証人と公証人の前で遺言を口頭で述べます。病気などで公証役場に出向けない場合は、手数料はかかりますが、公証人に自宅や病院へ出張してもらうことも可能です。
遺言者が口頭で述べた遺言の内容は、公証人が一定の手続きと方式に従って、正確に文章化します。そのようにして書かれた遺言書の内容を確認した後、遺言者、証人、公証人が署名・捺印すれば、公文書としての遺言書が完成します。

3.秘密証書遺言ー封印した遺言書を確認してもらうだけなので、内容自体は秘密にできる

 秘密証書遺言は、遺言書そのものの方式というよりは、遺言書を秘密に保管するための方式で、さらに偽造や変造を防ごうというものです。
長 所・・・・あらかじめ封印した遺言書を提出し、自分の遺言書であることを申し述べるだけなので、遺言の内容は秘密にしておくことができます。また、公証人が封紙するため、偽造・変造の危険がすくないと言えます。
短 所・・・・証人の立会いを必要とする煩わしさがあることと、公証人は封印された遺言書を確認するだけなので、自筆証書遺言と同じように、書式に不備があった場合は遺言として無効になってしまう危険があります。さらに、公正証書遺言のように遺言書を公証役場で保管してくれるわけではないので、紛失や隠匿といった危険もあると言えます。

 以上のような長所や短所を比較して、当事務所ではできる限り、公正証書遺言の方式を推奨しております。財産の処分や身分関係の整理解決は、可能な限り確実な方法をとるべきと考えます。

 

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