こんにちは。山形県酒田市の行政書士アドバンス総合事務所の中山です。
人が死亡して相続が発生した場合には、戸籍謄本が必要になります。日本の戸籍制度はとても整備されていて、人の身上や親族関係をほぼ完全に網羅したものになっていますので、亡くなった人の生涯の戸籍を取り寄せて、相続人を確定することになります。
たとえば、父親が亡くなった場合、相続権があるのは亡くなった人の「妻」と「子」です。妻はその人の死亡時の最後の戸籍をとれば載っています。また、子についても、未婚なら同じ戸籍に載っていますし、結婚して戸籍を出ていっていても、亡くなった人が結婚したときの戸籍をとれば載っています。しかも余程のことがない限り家族として日常的に行き来している間柄であることが多いので、本籍地がどこであるとか、誰がどのように事務を分担するとかいう話を決めるのも容易です。ですから、親の相続の場合は、戸籍の取り寄せ作業はそれほど困難ではありません。
もし、亡くなった人に子がいない場合は、次は親が相続人になりますが、ある程度の年齢になっていれば、親も二人とも亡くなっていることが多いでしょう。
そうすると、相続権は兄弟姉妹に移ってきます。この「兄弟姉妹からの相続」というのが、かなり大変になってきます。
まず、亡くなった人の全生涯の戸籍を取り寄せて、子供がいないことを確定させなければなりません。次に、親が亡くなったときの戸籍を取り寄せて、親も相続人にならないことを確定させなければなりません。
これだけで済むならまだいいのですが、兄弟姉妹が相続をする場合には、亡くなった人の父親と母親の全生涯の戸籍も揃えなければならないのです。
兄弟姉妹というのは、両親の少なくとも一方が共通している間柄のことを意味します。これが、生涯に一度だけ結婚して、その相手との間だけで子供をもうけたという夫婦の場合は、同じ家庭で一緒に育った人たちだけが「兄弟姉妹」となるので、調査もそう難しくありません。しかし、父親に離婚歴や婚外子認知の経歴があったりすると(そのことを生前に知らされていない場合もあります)、全然知らない「兄弟姉妹」が登場してくることになります。
また、例は少ないですが、母親に離婚歴があったりすると、女性は結婚・離婚のたびに戸籍が異動することが多く、本籍地も飛んでいたりして大変になります。
親の代の戸籍なので、今の戸籍のようにシンプルな書き方にはなってなく、「戸主」である長男を中心に、子やその妻、孫だけでなく弟や姉妹、ときには母親までも含めて10人・20人の集団が入っていることもあります。また、古い戸籍は文字が手書きなので、ほとんど読めないようなものすらあるので、慣れていない方には大変な作業になるのです。