こんにちは。山形県酒田市の行政書士アドバンス総合事務所の中山です。
たとえ夫婦であっても、一通の証書による共同遺言は無効となります。
夫婦が互いに財産を相手に譲りたいケースや、共有財産を第三者に譲りたいケースなど、共同で一通の遺言書を作成したほうが便利に思われる場合があります。
しかし、遺言は「二人以上の者が同一の証書で遺言することができない」と民法で定められています。共同での遺言を禁止しているのには、次のような理由があります。
①共同遺言では、一方だけが取り消すことができなくなる。
②共同遺言では、互いの意思に影響を与えかねず、自由な意思での遺言ができなくなる。
遺言とは、遺言者本人の独立した意思表示であり、いつでも取り消し、変更、撤回できる必要があります。共同遺言では、こうして遺言の大原則が崩れてしまいかねません。そのため、どんなに仲睦まじい夫婦であっても、共同で遺言することはできないのです。
しかし、同一証書による共同遺言が禁止されているだけなので、夫婦で共有財産の処分について相談したり、同じ日に各々が個別の遺言書を作成することは可能です。また、夫婦で別々に遺言書を作成して、それを同一の封筒に入れて封印した場合は、有効な遺言書として認められます。