こんにちは。山形県酒田市の行政書士アドバンス総合事務所の中山です。
年老いた夫婦にとって、自分の死後に残された配偶者の生活は気がかりでしょう。以前の「お悩み相談」にも書いたように、生活の保障を考えて、夫が妻に全財産を相続させる方法もありますが、金銭的な保障だけでは、病気をしたときの世話や介護の心配が残り、不安がすべて解消できるわけではありません。
そこで子がいる場合は、子の一人に「負担付遺贈」をして、残された妻の扶養の義務を負わせるという方法があります。この場合、
①法定相続分に負担付遺贈を加える、②負担付きで全財産を相続させる、
などの分配法が考えられるので、ほかの相続人とのバランスを考慮しつつ、妻にとっての最善の策を選択することが大切と思います。また、負担付遺贈を承諾するかどうかは、受遺者の自由意思に任されているので、遺言者は生前に、受遺者の理解と了解とを確認しておいたほうがいいと思います。
相続開始後に受遺者が負担付遺贈を拒絶した場合は、原則として受遺分(負担付遺贈されるはずだった財産)は受益者(この場合は妻)に帰属することになります。負担付遺贈を受けたにもかかわらず、受遺者が負担を履行しなかった場合は、相続人あるいは遺言執行者が負担を履行するように請求することもできます。それでも履行しなかった場合には、家庭裁判所に遺贈の取り消しを請求することができます。